隕石の鑑定室

Helio☾entric Astrology

ノーアスペクトの火星

火星にアスペクトのない特徴

 

これまで鑑定した方々のなかに、ヘリオセントリックチャートの火星に重要なアスペクトが全くない方が時折いらっしゃいます。

 

ノーアスペクトの状態は、その惑星の意味が両極端に振れると言われます。

火星は、自らを世界に打ち出していくべく、戦いを仕掛けていくような情熱の星です。情熱のバランスが取れず、自己を肯定して世界に押し広げていこうとする力が、まるごと損なわれているような感覚です。

気が弱く、なかなかNOと言えない。いつも人のペースに巻き込まれてしまう。
どうしても、人の意見を優先し、自分のほうが折れてしまう。
何があっても、悪いのは自分のほうだと思ってしまう。
競い合うくらいなら、はじめから負けたほうが気が楽。

そんな感覚を持った方は、もしかすると、火星がノーアスペクトの状態にあるのかもしれません。

 

火星は情熱的に自分を世界に押し出していく星ですから、それがないと、どうしても受動的で消極的な態度をとりがちになります。女性は特に、その傾向が強くなるように感じます。

自分のペースで事をすすめることが苦手で、何から何まで人に合わせてしまい、とても苦しくなる。それがどうしてもできないときは逃げてしまう、そんなふうにしかできなかったりします。

そんな状態ですから、人と接することは辛い体験となりがちで、さらに押しの強い人が相手だと、相手の言い分をすべて受け入れてしまう状態を生み出してしまいます。

それは、押しの強い相手からすれば都合の良いことで、いいように利用されてしまうという状況さえ生み出しかねません。

他者の火星に影響を受けてしまう

 

そのような方には、なぜだか自然に、火星がものすごく強いアスペクトを持つ方が周囲に寄ってくることがあります。

エネルギーの弱めな火星に、他者の強すぎる火星の影響がもろに響いてしまい、鍵穴に鍵がはまるようにピッタリと収まってしまったりします。

接する他者のエネルギーが強すぎると、それがいつの間にか自分の内部に浸透し、相手の考えが内在化されてしまいます。すると、自分の考えなのか、人の考え方なのか、境界が曖昧となり、どんどん自分が無くなっていってしまうことがあります。

気づくと、他者の望む生き方をすることが、「自分の望み」となっていたりします。自分が何を望んで、何を願っているか、そうなるとすでに全くわからないでしょう。

 

それも、もちろん、あらかじめ持って生まれた、魂の計画なのだと思います。その関係性から感じ取り、学ぶことが多くあるからこそ、それを創造しているのです。

自分の望み、魂の望みはなんだったのか、模索する中から大切な宝を掘り出すことが可能となります。その宝物が大切であればこそ、敢えてそれを見失う経験を創造するのではないかと思います。

 

良くも悪くも、他者の火星の強いエネルギーに影響を受け、自分が揺らいでしまう傾向にあると言えますが、相手の火星のエネルギーと響き合い、うまく補い合う形になる場合もあるかもしれません。
そうすれば凸凹コンビのような形で、なぜだか良いバディの関係になった、良いパートナーシップが築けた、等と感じる場合もあるのではないかと思います。

 

ノーアスペクトは際立った個性のひとつ

 

アスペクトがない(弱い)ということは、決して悪い側面だけがあるわけではないのです

その惑星の特徴が、他の惑星との関係性に依ることなく、混じり気のない状態でストレートに表れる場合もあり、リーディングが難しいポイントでもあります。

 

例えば、水星がノーアスペクトの場合、他の惑星と関係を持たずに、我が道を行く水星の特徴が著しく研ぎ澄まされ、個性的で際立った、異能とでも呼ぶべき表現能力に恵まれたりする場合があります。

孤立するということは、群れている状態にあるよりも、その個性をより際立たせるのです。それは人間と一緒ですね。

ブレーキが効かないようなものなので、両極に触れ、曖昧で調和の取れた「中間色」でなく、「極彩色」で、特徴が鮮やかに描き出されます。

 

このように、アスペクトのない惑星というのは、強烈なアスペクトを持つ場合と同等なくらいに、重要な意味を持ってくる場合があるのです。

何がそこにあるかということと同様に、何がそこに「ない」のかということは大事なシグナルとなっています。

《2022/9/4 加筆改訂》