隕石の鑑定室

Helio☾entric Astrology

【ヘリオ鑑定例】稲葉浩志さん

今回は、ミュージックシーンで長年トップを走り続ける、B’z 稲葉浩志さんのヘリオセントリックチャートを読んでみました。

 

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https://freehorocharts.com

 

まずはじめに、すべての惑星が「地」と「水」のエレメントに偏っていて、「風」「火」のエレメントは一つもありません。

慎重で、決断には時間がかかり、急激な変化を嫌い、まわりの感情的な共感を求めるようなところが強いでしょう。反対に、カッと頭に血がのぼって思いのままに行動したり、ふらっと新しいことを初めたりという軽やかさはあまりありません。
穏やかで控えめ、堅実で、どちらかといえばおとなしく地味な性質を根本に持っているのだろうと思います。

ところが他人から見ると、無意識下で欠けた火と風のエレメントを補おうとする方向性が生まれるため、逆に火と風のエッセンスが際立ち、とても華やかで颯爽とした、エネルギッシュな熱いキャラクターに映ったりします。

 

水星と火星が、ほぼ誤差がなくぴったりと重なっています。これほど誤差が小さいのは稀ではないかと思うほどです。ですからこのアスペクトの性質は非常に鋭く表現されるでしょう。

水星の示す知性や言語能力が、火星の熱く燃えたぎるような自己表現の欲求と同化します。どんな言動にも炎のような熱さを帯びさせ、非常に情熱的な人物に映ります。
また、とてもスピーディで閃くような知性の使い方をします。鋭利な刃物を振り回すような切れ味の良い表現力、行動力を生まれながらに持っています。

 

この水星と火星の合が、他のほとんどの惑星とアスペクトを形成しています。あらゆる分野でこの知性と情熱の合体したエネルギーが強い影響を及ぼし、人生を牽引していくこととなるでしょう。

水星と火星は「身近なテリトリー」を示すエリアにあり、あまり大きな組織や団体の中にあるよりも、個人的に深いつながりを持てる、家族のような小さなコミュニティや、ごく親しい友人の集まりなどの中で、くつろいだ状態の中で能力をより発揮する傾向を示しています。

そして、身近な人間関係に恵まれ、個人の能力を伸ばし発揮することに貢献してくれる良い仲間が、いつも傍で支えてくれるという傾向も表します。

 

水星と火星の合は、土星と穏やかに互いを認め合うような関係にあります。
土星は、自分を律しコントロールするような秩序のエネルギーを示し、この場合、非常に安定した自己管理能力があることを意味します。

水星と火星の能力がずば抜けているので、それを放っておいたら暴走し、自分自身に振り回されたり、または他者との関係の中で、優れているがゆえのいざこざが起きやすかったり、問題が起こりやすいと言えます。それを上手に切り盛りし、自分を律することで適応させていく力に恵まれています。
例えるなら、高性能のエンジンを持った車をアクセル全開にしながらも、適所で上手にブレーキを踏みながら、絶妙にハンドリングしていけるという感じでしょうか。それは土星のブレーキなしには成し遂げられないことです。

土星は「無意識」を示すエリアにあるため、この高い自己管理能力は、何かに突き動かされるように、自分でそうしようとしなくても自然に駆り立てられてしまうような感覚があるのではないかと思います。
自分を強く律していないとどこか不安で、頼りないような気分になってしまい、ストイックさにしがみついて安心するような感覚が、心の奥にあるかもしれません。

 

◆火星と水星のサビアンシンボル 

蟹座4度 「ネズミと議論する猫」

ネズミより強気でいられるはずの猫が、低姿勢でネズミと対等に対話しようとするさまを示しています。
物腰が柔らかく、低姿勢でおごった部分のない人です。わざと下手に出て、集団に受け入れられようとします。揉め事は苦手で、ヒートアップすると腰が引けてしまいます。謙虚で、弱気な面も見せ、相手を立てて調和を図ります。
自分より立場の弱い者や、精神的な弱さなどにも寄り添う心を持ち、時に謙遜が過ぎることもあるかもしれません。そのような態度によって、周囲から厚い信頼を得られる人です。

魂の青写真に沿った生き方へと還っていくための筋道やヒントも、水星が示しています。
本能的に自分を低く見積もっている部分があるかもしれません。しかしそれは他者への優しさからくるものであり、弱者への温かい視線は、本物の真心から溢れるものではないでしょうか。
他者へ慈悲の心を持つことは、自分への優しさにもつながります。その慈悲を豊かに育むことが、生まれる前に設定してきた、魂の成長への方向性と言えます。

 

◆土星のサビアン

魚座3度 「化石化された森」

本当に価値あるものは決して風化せず、永遠に失われないことを示しています。
真に価値あるものを探し、永遠のテーマを求めて生きる人です。理想に生きる覚悟を持っています。
本物志向で、古くから価値の変わらない希少なものや伝統的なものを大切にし、本当に価値があると思った人や分野を徹底して守り抜こうとする気持ちが強いです。

 

木星と海王星が正反対の位置にあり、燃え盛る太陽を挟んで向かい合っています。

社会の中の常識的な部分と、自分の夢想の中にある理想的なヴィジョンの間での葛藤と言えます。社会的な役割を果たそうとすると理想の生き方からは遠ざかり、自分を癒やしてくれる大切なものからも遠ざかってしまうというジレンマを抱えるでしょう。

それでも、理想主義的な部分がとても強く、夢のような世界に土台を持ち、ユートピア的なイメージを強く追い求めます。理想のために殉ずるくらいの強い思いが、いつも心のどこかに秘められていて、それに突き動かされる傾向にあります。何を犠牲にしても、信じた美しい夢を広げ、具現化しようと熱い想いを持ち続けるでしょう。

ですが、それがすんなりとうまくいく訳ではありません。自己犠牲を払っても信念が形にならず、道に迷い、苦しみもがくことも多いかもしれません。

立ちはだかる壁を一つ一つ克服し、乗り越えていく中で、自分自身がようやく癒されていきます。

克服することと追い求めることの繰り返しの末に、自らが人々を癒すような美しいエネルギーを世界へと広めるような存在に成長していることに、気づくことになるのでしょう。

 

◆木星のサビアン

牡牛座17度 「剣とたいまつの間の戦い」

剣は意志を示し、たいまつは霊性を示します。魂と肉体との間の葛藤と言えます。それはどちらかが勝利して終わるものではなく、どちらかだけでは生きられません。その長く続く葛藤のなか、内側から出てくる答えを求めます。高い感受性を持つからこそ、答えを感じ取ることができます。
一番自分らしく生きるための答えを模索し続けます。信念のままに生きようとし、細かい部分まで妥協せず、決断したことはなんとしても自力で成し遂げようとする人です。

まさにここでも、魂の求めるものと肉体の求めるものとの葛藤が示されていて、前述の理想と現実の葛藤とぴったり重なり合います。

 

海王星は「深い絆・心の深み」を示すエリアにあり、しかも蠍座なので更に増幅されます。この星がホロスコープ全体の鍵となっている気がします。一つだけポツンと孤独な位置に存在する星は、その性格が特に強く出る傾向があります。

ユートピア的理想を象徴しており、特定の人物との一対一の深い関係の中に、その答えがあるようです。そのソウルメイト的な相手との、深みに果てしなく潜っていくような心の結びつきが、人生の重要な鍵となっていくようです。

その相手は、果てしなく求める対象であり、その存在自体が、人生の理想を体現していると思われます。その人の存在こそが、人生の理想そのものと言えるかもしれません。

それは生まれる前から約束されていたような、深い絆で結ばれた存在であり、それまでの人生や価値観を根こそぎ覆す、大きな化学変化を起こすような、運命的な関係と言えるでしょう。

 

信じたい理想と、空想・妄想とは紙一重で、直感的に感じ取ってしまうイメージを単なる妄想なのかどうかと苦悶してしまう可能性もありそうです。自分は妄想に振り回されているだけではないかと、深く自問し、煩悶するかも知れません。

しかし、その理想が現実のものとして完成する時、全てが真実だったていうことを知り、全てが報われたと感じられるはずです。

海王星に与えられ、自らを導いてくれたビジョナリー的能力に深く感謝することになるのだろうと思います。

実際に、非常に強い直感力、インスピレーションを天界の泉から汲み出すように受け取り、それを表現して社会に押し出していく能力が、時を経るごとに磨かれていくでしょう。

 


◆海王星のサビアン

蠍座18度 「豪華な秋色の森」

灼熱の太陽が照らす夏の後にやってくる、実りの秋。自然の大きなサイクルを示します。
並々ならぬ集中力を傾け、その後の成果を待ちます。一つのことに熱く集中し、人生を捧げる人です。日常的な幸せを犠牲にしても、責任ある仕事や信念に没頭します。人事を尽くして天命を待ち、その後にやってくる実りの秋に、豊かな達成感を得ることができます。緩急の落差が激しく、メリハリのある人生を送る傾向と言えます。

 


水星と火星の合は、地球とは衝突するような関係にあります。
土星の働きで、社会や組織などの中で自分の力を活かすことはとても得意ですが、反面、自分の裸の心に対してどう火をつけるか、どうコントロールするかという部分については、安定しにくいと言えます。

周囲から能力を求められるときは、そこに自分の情熱をうまく重ねて表出していくことができるのに、自分ひとりの世界で、全て自由にやっていいとなると、自信を失い、途端に自分がわからなくなる。エネルギーが暴走し、衝動的になって空回りしたりする。例えばそのような経験があるかもしれません。

社会的には成功して問題なく回っているようでも、個人としての人生はどこかが噛み合わなく、うまく行っていないような感覚に陥る可能性があります。

その欠けた部分を補うように、自分というものを見つめ直し、強く打ち出していくために磨いていこうというのが、魂の意図なのかもしれません。

 

◆地球のサビアン

魚座30度 「巨大な石の顔」

頑強な岩にも似て、時代や外界によって移ろうことのない、自分だけのはっきりとしたビジョンを持ち続ける人です。
人の模倣ではなく、自分の奥底にあるあこがれを現実化しようとする強い意志を示します。一貫してポリシーを変えない強さと頑なさがあります。
孤立しても反対されても、覚悟を決めれば決して動じることがありません。そうして己の世界を完成させようとするのです。

地球は、この星に生まれてきた目的そのものを示唆しています。サビアンからも、自分の心を傾けたもの、一度掲げた信念は死んでも追求し、なんとしてでも完成させるという傾向が見られ、それが人生の核となります。

 

 

そして、水星と火星の合、地球、海王星がトールハンマーという角度の三角形を描いています。内面の強い葛藤を抱えるような、過酷とも言えるアスペクトです。

この場合、外界との摩擦というよりは、特に自分自身との戦い、自己批判などを暗示するように感じられます。

地球のサビアンも示す通り、自分に対しても一貫したポリシーをつらぬくところがあるので、自己矛盾を許容できず、徹底的に追求してしまうような部分があるのではないかと思います。

誰でも自分の中に矛盾を抱えているもので、それはあって当然なものなのですが、許すことができず、気付けば自分自身に鋭い批判の一撃を与えてしまっている、といった感じです。

そのため、外界に救いを求められず、心のバランスを崩すギリギリのところで踏みこたえ、常に綱渡りをしているような人生だという感覚を持ちやすいかもしれません。

 

心理面ではとてもきついチャレンジの連続という人生になりやすいですが、その分大きな精神的成長の可能性があるということでもあります。

この三角の頂点が海王星であることからも、前述の、深い絆で結ばれたソウルメイト的な相手の存在が、人生における最大のテーマであり、最大の救いでもあることが伺えます。

 

 

冥王星は、木星と海王星の対立を中和しています。強く理想に駆り立てられる心は、自分自身の人生の問題だけではなく、そこに宇宙の力も強く働いていることを暗示します。その夢を叶えることは、宇宙全体の願いでもあり、宇宙もそれを必要としているのです。

その過程を世界に見せることによって、世界を変える力となるからです。

愛の理想を自らが体現し、人々にそれを生きて見せることによって、真実の愛を人々に伝える、伝道師のような役割なのかも知れません。

 

冥王星は天王星とゆるく重なっていて、天王星の革新的なエネルギーも注がれます。この理想は、今までの社会の延長上にある慣例に則ったものではなく、全く新しいエネルギーに満ちた、型にはまらないものとなることを運命づけられています。

 

水星と火星の合は、冥王星による深い神秘のサポートも受けています。宇宙の真理を深く体感して生き、それを形にするために背中を押されていると言えます。そのために必要な導きを周囲の人から得たり、結果として人を導いたりする存在にもなり得ます。
人生を壊してもまた再建することができ、やがてすべてが神秘のサポートのもとにあるということを深く知るようになります。

 

◆冥王星のサビアン

乙女座15度 「装飾されたハンカチーフ」

美しく装飾されたハンカチを、美しいまましまっておきたい気持ちを示しています。
世間の薄汚れた価値観に染まりたくない気持ちがあり、実社会で揉まれることに積極的ではありません。世間から守りたい、汚したくない大切な何かを心の中に持っています。
ガツガツした欲がなく、大人しい性格です。社会の波に揉まれるには繊細で純粋すぎて、実社会と距離を保ちたいという思いが、根底にあります。

 

◆天王星のサビアン

乙女座11度 「母親の期待の鋳型にはまる少年」

完璧主義者で、かなり潔癖な面があります。弦が張り詰めたような緊張感を漂わせ、自分にとても厳しい人です。
自己管理をきちっとし、ノルマの達成やエクササイズ等に励みます。ストイックでやや窮屈になりがち。おおらかさにはやや欠ける傾向があります。その厳しさの根底には、失敗への恐れ、間違うことを自分に許さないという思いがあります。

この天王星と冥王星は「仕事」のエリアにあり、人々のために奉仕し、与えていくという場で特に強く力を注ぎ込むでしょう。お仕事の面では、とても厳しく自己管理し、完璧主義の傾向が出やすいです。

 

◆金星のサビアン

牡牛座30度 「古代の芝生をパレードする孔雀」

行き過ぎた演出とも言える、仰々しい表現力を持つ人です。情熱を傾けた事柄を盛大に演出したいのです。派手でくどい表現になりやすいですが、完成されています。どんな要素もその人の色に染まってしまうような強い個性があり、独特で、随所にこだわりと独自性を発揮します。

音楽や映像、インテリア等、美意識を発揮するような立場に適性があります。
火星と水星の示す鋭い表現力を、この金星の持つ独自の感性が支えていると言えるでしょう。
 

 

金星と土星が、互いに相容れない矛盾した関係にあります。
自分の感情を疑ってしまい、率直な思いを素直に感じることを自分に許さないような、自分に厳しすぎる一面があるかもしれません。

愛情の分野では、自分を必要以上に抑えてしまったり、気持ちと裏腹の行動をしてしまったり、時には奔放すぎる幾つもの恋愛関係の中に自分を見失うような経験があるかもしれません。

大切な存在を作ることに恐れがあったり、傷つきたくないという逃げがあったりして、自分の愛に正面から向かい合うことを避けてしまったりします。

しかしそれは、本物の愛を得るための、試行錯誤の一環なのです。本物の愛とは何かをより深く知り、味わうために、あえて足かせのようなものをつけて生まれてきたということなのです。

大きな愛の傷を負ったとしても、それはこのアスペクトを持つ人にとっては、勲章のようなものとなります。その傷跡は、人生を支える確かな柱となるでしょう。

 

 

金星は、地球とは調和された関係なので、感情をじっくりと味わうことで体験を血肉にし、日常の生活を満たしていく能力には長けています。
体感の赴くまま、豊かな感情を味わい尽くし、心を満たすことが必要となります。それが自分を愛するための術となります。

非常に強く作用している火星のエネルギーで、馬車馬のように自分を駆り立ててしまいがちになるのですが、それよりもこの金星が示すように、あえてペースを落としても静かに自分を見つめ、自らの感じていることを素直に信じ、尊重していくことで、魂の青写真へとつながっていくのだろうと思います。

形に残る、目に見える大きなものだけに成果を求めず、日々の小さな日常の積み重ねの中で、ちっぽけな、風が吹けば飛ばされてしまうような些細な幸せを、一つずつ丹念に積み上げていくことは、傷ついた内側の愛を蘇らせる唯一の手段となるのかもしれないということを、星は語りかけている。そんな風に感じました。